飼い犬に手を噛まれまして


 そうですよね。うちのワンコ、可愛い顔してるもん。そりゃ、女の子に取り囲まれたりしちゃいますよ。


「紅巴さん? どうしました? はぐれると大変ですよ。うちの学校、無駄に広くて毎年新入生から行方不明者が出るんですよ」


「え?」


 ワンコは女の子を押しのけて、私の手を取ると指と指を絡ませた。



「よし、これで大丈夫」


 ワンコは、またまたなんてことない、って顔して歩き出す。


「ちょっと、手離してよ……」


「捜索願出すの嫌なんですよ、心配させないでください」


「だ、大丈夫だってば……」



 そ、それに……取り巻きの女の子たちの視線がズサズサと突き刺さってます。

 出血多量で瀕死になれるくらいの、滅多刺しになってます。



 女子大生たちの顔は、明らかに『何なの? あのオバサン』って書いてある。


 ええ、わかりますよ。

 女子大生、肌ツヤツヤだし、キラキラ光り輝いてるもん。

 彼女たちからしてみれば、私は立派なオバサンだろう……







 
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