飼い犬に手を噛まれまして
────「紅巴さん、土産買いすぎ!」
「え、だって郡司先輩と、朋菜と、タカシさんと、萌子先輩と、濱中さん、迷惑かけたから加賀谷さんにも買ったでしょう、それから、あ、これは企画デザイン課の人たちに食べてもらうマーライオンクッキー。和香と山咲さんにも、キューピット型のマーライオンクッキー……こっちはね、実家に送るやつで、これはおばあちゃんとおじいちゃんにマーライオン湯のみ。
あれ? 誰か忘れてる気がする」
「十分ですってば! 荷物が倍になってるじゃないですかっ!」
お土産袋を空港のカートにのせて、確かに倍になった荷物を見て苦笑い。
せっかくだから、これくらいいいでしょう。
「税関で時間かかりそうですね」
「えー、お土産だもん、大丈夫だよ」
「でも夕方って一番混むから、早めにチェックインしましょう」
「大丈夫だから! ちょっとでも長くシンガポール満喫しようよ」
ワンコがため息をついた。
「深陽なら来ませんよ」
「わからないじゃん。ギリギリまで、待ってようよ」
「これ以上惨めな気持ちになるの嫌なんですよ!」
「いいじゃん! まだ、時間はやいし!」