飼い犬に手を噛まれまして


 SM CLUB MARVELOUSという文字が大きく掲げられたビルの目の前で、立ち止まる。

 メモを確認すると、「えすえむくらぶまーべらす」と自分の字で書いてある。


 さっきは気が動転しすぎていて、SM倶楽部という単語が含まれていることに気がつかなかったんだ。



 ここに一人で入らなきゃいけないの?


 でも、ワンコが「助けて」って言ってた。私が行かなきゃ…………


 持ってきたハンドバッグは頼りないけど、ぎゅっと両手で握りしめた。


 綺麗なお姉さんたちの写真が飾られている通路を通り、煌びやかな店内へ。

 店は黒と赤を基調としていて毒々しい……自動ドアを抜けると生花が飾られていて、天井からシャンデリアがぶら下がるホールみたいなとこにたどり着く。


 人はいないけど、STAFF ONLYと書かれた扉が開いて、普通に可愛い子が顔を見せた。


「あ! ワンコくんの飼い主さんの方ですか?」




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