飼い犬に手を噛まれまして

────会社から近いハンバーグ定食のお店で、朝からずーっと機嫌がいい萌子先輩と向かい合った。


「報告会の準備は万端ね」


「はい、二時からですよね? これ食べたらプロジェクターの調節だけしてきます。午前中にやっちゃうと、ずっと電源入れとかないといけなくなっちゃうと思って……」


「そうね。お願いね。茅野ちゃん」


「ち、茅野ちゃん!?」


「何か?」


「いえ、何も……」



 萌子先輩は、普段は口は悪くても裏表のない人だ。もう何年も二人きりで庶務課を切り盛りしてきているけど、そのストレートな性格を、私は嫌だとは思っていない。


 呼び捨てにされても、嫌じゃないし、小言を言われても、それを後まで引きずることもないし、サバサバしすぎてる部分もあるけど、それは逆に好感だ。


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