先生の言うことがきけないの?

「俺女に負けたのかぁ」

ふざけたように言う谷内。


「じゃあ、明日は俺な?」


えっ…


「いいよいいよ!もー先生実花の相手してやって!」


あたしが口を開くより先に、悠莉が言った。


「ちょ、ゆう、」


「今日はね、うちが無理やり誘ったの。実花、先生んとこ行きたそうだったけど」


「な、」


に言ってるの?


「なんだぁ、じゃぁ都筑は俺に会いたかったということで」


ケラケラと笑って言う谷内。


「ちょ、そんなんじゃ」


「てれんな実花!」


悠莉は、車の色と同じように暗いこの車内の空気を、明るくしてくれようとしてるんだな、ってわかる。


でも、そこまで言わなくてもいいよ。


「しょーがないなー先生。明日はあたしが相手してあげるよ!」


「どっから目線だよ」


あぁ。


明日、谷内とまた話すんだ。


ちょっと憂鬱になってる自分がいる。


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