乱華Ⅰ【完】
「…ヤられてねぇよ。変な言い方すんな…ってこれ酒じゃねーじゃねぇか…」
そういう意味じゃねぇ。
俺の言い回しが気に入らないのか、タクはオレンジの髪をガシガシと掻きながら(めっちゃボサボサになってやがる)カウンターに項垂れた。
女に手を出す男はもちろん、そんな目に遭わせようとした女たちの方が遥かに質が悪ぃ。
男どもは颯人によって病院送りになったみたいだがな。
女達は正宗が手を回して転校させたらしい。
結果的にあいつらはいい見せしめになっちまったわけだ。
大げさに思うかもしれねぇが乱華を敵に回すってのはそうゆう事だ。
この街で生きていけなくなる。
心ちゃんの具合は俺の聞いた話では全身打撲らしいけど。
「着いててやらなくていいのか?お前護衛だろーが。こんなところで油売ってんな」
「…ハッ護衛?俺のどこが護衛だよ。…全然守れてねーじゃん」
どこか投げやりな言い方のタクは、グラスに入ってたあったソレを一気に飲み干す。
それでこの荒れようか…
…守る、守れないってのはこいつにとっちゃ大事な事だからな。