女神は不機嫌に笑う~小川まり奮闘記①~


 わーい、嬉しい!

 通帳をしっかりと鞄の中に仕舞って、私はうきうきと銀行を出る。

 これは今月だけのこととはいえ、これで残り少ない貯金に手をつけずに済むってもんである。

 その日は休みだったので、臨時収入に頭を下げて、買わなければならなかった日用品などを買いだめした。

 そして部屋で、じっくり計画を練ることにする。

 今度は私の命まで掛かっているのだ。真剣にならなければならない。


 百貨店では、表面上は二人とも非常に機嫌がよさそうに勤めていたけれど、倉庫やバックヤードですれ違う時には嫌味の応酬や鞄をぶつけたりなどしていた。

どけよ!と言われて邪魔よ!と返す。非常に悪い雰囲気の中での品だしをしたり。一度それを聞いてしまったらしい別の店のアルバイトの男の子が、怯えた目で私達を見て行ったこともあった。


 梅雨に入り、毎日雨が降っていて、地下の職場である私にはあまり関係がなかったけど、護身用にもなるかと折りたたみの傘を私物鞄にも忍ばせていた。

 今のところ使わなければならない気配はないが、念には念をってやつである。

 そして、そんな風に過ごしていて、7月に入る直前のことだった。



 また、危ない目にあったのだ。



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