pianissimo.
「私たちは柏原大輝に裏切られた。それでトモ兄が怒って……。

あんなトモ兄、初めて見た。普段から、私とは全然喋らないし、いっつも機嫌悪いから、怖くて近付けない感じだったんだけど、あの時は……もう本当に、怖いなんてもんじゃなかった。

猛獣……違うかな、鬼とかそういうのがピッタリかな。とにかく――

『人』には見えなかった」



私を助けてくれた時のライガもそうだった。

冷酷で残虐で。静と動が混ざり合って一層周りの恐怖を煽る、そんな感じ。



でも静江ちゃんが見たライガは、きっとそれ以上だったんだと勝手に思った。だって静江ちゃんは、『酷いこと』をされたんだから。


こんなにも可憐で純粋で、可愛くて綺麗な妹を傷付けられたら……。


ライガの絶望と怒りを想像しただけで、私まで胸が苦しくなった。




「意識不明の重体だったって聞いたけど、でも助かったんだよね?」

死んだとは聞いていない。きっと今も元気で、兄と一緒になってライガへの報復に躍起になっているんだと思っていた。


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