pianissimo.
時間に余裕がないので、そのまま二人して家を出た。


眩しくて見上げれば、もう九月だというのにまだ夏の空。目を細めると、鮮やかな濃い水色も細くなる。



「先輩、行くよ」

ライガが私の手を取って歩き出した。引っ張られるままに足を動かし、それでもまだ綺麗な水色を眺めていた。



そう言えば……。

ライガの頭について、もう少しいじってあげないと。


どうでもいい使命感にメラメラと燃えてきて、空から隣のライガに視線を落とした。



「ねぇ、急にどうしたの?」

「何が?」

「え? だから、その頭」

「やっぱ……変?」


言って私を見下ろしたライガの眉尻は、不安げに下がっている。



「変じゃないよ。『似合ってる』って、さっき言ったじゃん。そうじゃなくて、どうしたのかなと思って」


ライガは私から顔を逸らして俯くと、

「ん……」

小さく声を漏らした。その横顔は、何やら考え込んでいるように見える。


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