pianissimo.
「ライガが中学の時、同中(オナチュウ)の子を半殺しにしたって話。素手で、だよ? やられた子、意識不明の重体だったって。アイツ、人間じゃないよ、怪物だよ」

「うそっ……」

「嘘じゃないっ!」

郁香も何故だか興奮してきたみたいで、口調に熱が籠っている。


確かに、ライガが入学式で見せた跳躍力とか、瞬発力とか、人間業とは思えないほど凄かった。でも間違いなく人間だ。雨の中握ったライガの濡れた手は、温かかった。




「ねぇ、でもそんな大事件起こした子が、どうして今、こんなフツーの高校にフツーに通ってんの? やっぱ、ただの噂じゃない?」

「やられた子が警察に何も話さなかったから。ライガが更生施設に入っちゃったら、仕返しできないでしょ?」


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