待ち受けカノジョ。
病室のドアを開けると、おばさんと成田さんが何か話し合っていた。


「あっ、滝山君」

「おばさん、こんにちは。奈緒の具合はどうですか?」

おばさんの顔が曇る。

「それがね…あんまり良くないのよ」


やっぱり。


体温計を見ながらバインダーに書き込んでる成田さんが口を開く。

「ここんとこ、ずっと高熱が出てるわね。今も40度だし、呼吸も安定してない。もしかしたら肺炎をおこしているのかも」


肺炎…

だから携帯の中の奈緒も苦しそうなんだ。


奈緒を助けてあげれない自分が、すごく歯がゆくて悔しい。


オレが奈緒にしてあげれること…

バックからビニール袋を取り出した。


こんな事しか、今のオレはできない。


「おばさん、成田さん。あの…できればでいいんですけど、ちょっとお願いがあるんです」
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