待ち受けカノジョ。
帰り際、なんとなく隣の2組の教室をチラ見。

グループごとに集まった女の子達が、楽しそうに笑いあっている。


「あっ、滝山ク…ン」


オレを見つけてヒキながら手を振る女の子の向こうにある、

ぽっかりと空いた窓側の席。


この間までそこに座っていたのは、

いつも本を読んでいた、赤ぶちメガネの地味な女の子。


そう。

あれは、奈緒の席。


…ん?

そういえば、携帯の中の奈緒はメガネしてないな?

ぶつかった時に落ちたかな?



「滝山君?」

後ろから呼ぶ声にハッとして、振り返った。

「大丈夫?」

心配そうな表情でオレをじっと見つめる、

ポッチャリポチャ子さん。


「うん。え…えっと?」

だ、誰だっけ?

「ああ、やっぱり覚えてないんだね。ウチ、小川桃香」


あれ?

昨日、奈緒が『私の友達の桃香が…』って、なんか言いかけてたような気がする。


「メール見てくれた?」

「ごめん、見てないや」

ここは正直申告。
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