待ち受けカノジョ。
「…滝山君」

うるさい…

「起きて下さい、滝山君」

男の声?

誰だよ?

男の友達なんて、この学校にはいないけど。

「もう授業終わりですよ。ってか、学校終わりました」

「えっ?いつの間に!?」

驚いて顔を上げた。


オレの目の前に立っていたのは…

「えーと、誰だっけ?」

「クラスメイトの名前くらい覚えて下さいよ!」

と言いながらも、ソイツはニコニコと笑っている。

「平石です、平石功介。後ろの席の」

ああ、銀ぶちメガネ君か。

「…何か用?」

カクッとコケる平石。

「男には冷たいですね、滝山君は!」

だって男はムサいんだもん。

「昨日と今日の授業の内容、これにまとめておきました。どうぞ」

ポンと机に置かれたのは、ずいぶんと分厚いノート。

???

頭の上に?が並ぶ。

「えっ?なんで?」

どういう事?

「なんでこんな優しい事してくれんの?友達でもないのに」

謎の存在平石は、口の端を片方だけ上げてニヤッと笑った。

「友達ですよ…?」

メガネのレンズがギランと光る。

「では、来たるべきテストに向けて、勉強して下さい。しっかり、最後のページまで、ですよ?」

そう言うと平石は、時代遅れな黒い皮の“THE学生カバン”を持って、さっさと教室を出て行った。


…変なヤツ。

オレは首をかしげながら、そのノートを広げて見ることもせず、バックにポイッと放り込んだ。
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