糖度∞%の愛【編集前】
今朝着てきたお気に入りのコート。
チャコールグレイのそのコートに、真っ赤なペンキがかけられていた。
これにはさすがに言葉がでなかった。
ロッカーの中にはペンキが一つも落ちていないから、ご丁寧にコートを取り出してどこか別のところでペンキをかけてから戻したらしい。
「…だから気を遣うところが間違えてんだっつーの」
コートにペンキをかけるくらいの度胸があるなら、いっそのことロッカーをペンキまみれにして、コートだけでも無事にしてくれた方がよかった。
ぐしゃり、コートの袖部分を握る。
自分で買ったものならまだいい。 これは去年の誕生日に真帆から貰ったものだ。
もちろんコートを着て帰ることはできない。
困った、会社の玄関で彼方と待ち合わせしているのに、この季節にコートを着てないと変に思われるじゃないか。