糖度∞%の愛【編集前】

涙を出すのは諦めて、スーツのポケットに入れてあるスティックシュガーを取ろうと手をポケットに入れる。

低血糖の症状かな、と思った時にはチョコとか甘いものを口にするけれど、なんだかくらくらするからもしなにかあったとき固形物じゃ喉に詰まるかもしれないから、敢えてチョコではなくスティックシュガーを選んだ。


「無駄な抵抗はやめなさい、沙織」

「……なにが?」


こっそり涙を出そうとしていたその行動でさえ真帆にはお見通しだったようで、真帆の真似してとぼけてみたのに見逃してくれない。


「そんなことやったって、出てこないわよ。 それは出ないんじゃなくて、出せないの」


私でさえ分からない涙の出ない理由を分かってる風に言うから、「出せないって……?」おうむ返しに聞いてみる。


「だって沙織が泣けるのはあのバカ男の前でだけなんでしょう? だから泣けないんでしょう?」


畳みかけるような真帆の言葉が私の想像すらしていなかった理由だったはずなのに、まるで図星をさされたかのように身体はピシリと固まった。

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