scar-傷痕-
「優奈ちんおっはよーさん!」
がばっ
「……篠山」
しんみりした空気を読まずに割り込んできた奴が一名。
背後から抱き着かれる。
「こら篠山くん、朝から優奈にセクハラしないの!」
美希が注意しようがこの男は聞こうともしない。
「セクハラじゃなくてスキンシップさ〜」
「離れて」
「いーやーよ」
何が『いやよ』だ。
オカマか。
ツッコミさえ面倒臭くて欝陶しい腕を力付くで剥がす。
「何すんだよ優奈〜、久しぶりに会ったのに。それから名字じゃなくて名前で呼べって言ったろ」
「青羽」
「それでよろしい!」
(何がよろしいんだか…)
単純な青羽は満足して自分の席に戻っていく。
篠山青羽(ささやま あおば)。
あたしの幼なじみ。