scar-傷痕-



案内された先に座っていたのはゴリラ顔のおじさんと、その部下らしきイケメンの男だった。

二人ともスーツを着ていて仕事帰りみたい。


「真奈でーす」

「…愛里です」

「おぉお!やっときたやっときた!!真奈ちゃん待ってたよーーっ!あれ?そっちの子は新人さんかな?」


嬉しそうに口を開いたゴリラ。
顔をだらし無く緩ませて先輩を自分の隣に座らせている。
あたしは曖昧に微笑んでイケメンの隣に座った。


「うんそうなの。私の友達で、今夜だけ手伝ってもらってる女の子だよ♪」

「はじめまして」

「はじめまして愛里ちゃん!俺は小波大輔!よろしく!!」

「よろしくお願いします」


豪快な笑顔に圧倒される。
なんだか人懐っこい大人だ。


「大輔さんも今日は一人じゃないんですね!そっちのお兄さんこのお店は初めてですか?」

「…あぁ」

「お、おい神田!もうちょっと愛想良くだなぁ…!」

「…」


対してあたしと同じキャバクラ初のお兄さんは無愛想。
こっちの大人はなんだか取っつきにくそうだ。
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