たいむ あうと。
ー私を…殺すチャンス。

「うっ…うあああっ!!」
頭が割れそうなくらい痛い…。
この感情は何?私は何を考えているの?

「亜子…!!」
ー龍様が、私を呼んでいる。
その声にも応える事が出来ない。


”亜子…”

ー……!!

”憎んではいけないよ…。俺が果たせなかった夢を…平和を・・・”

「ーお父さん…!!!」


ー思い出した。
思い出して、しまった。

遠い昔。
桜が咲く屋敷に、私はいたんだ…。



「そういう…こと」
亜子は立ち上がって、顔をあげた。
葵は先ほどより口角を上げて笑っている。

「全部、思い出した」
亜子の瞳からは、涙が流れている。
悲しみ、苦しみ、憎しみ、そしてー罪悪感。

「亜子…っ違うんだ…っ」
傷口を押さえながら龍は言う。
しかし、亜子の耳には何も入らない。
彼女は龍が落とした剣を拾った。
「馬鹿な真似はよせ!!」
悠が近寄ってくる。

「!!…」
亜子は悠に剣を向けていた。

「本気なのか…!!」
楓が口を挟んだ。
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