Do you love“me”?
トクントクンと、この前よりも少し速い鼓動を刻む稜君の胸に耳をあてたまま、ゆっくりと瞳を閉じる。
今まで感じた事のない安堵感に――
“あぁ、この人だったんだ”
そんな事を思った。
「稜君?」
「なーに?」
「“ずっと前から”ってどういう事?」
その質問に「あぁ」と、ほんの少し笑いながら呟いた稜君は、私を抱きしめる腕に力を込める。
「ずっと気になってた。どんな子なんだろうって」
「え?」
やっぱり答えになってないような、稜君の回答。
だけど、そんなテンポも嫌いじゃない。
「前から、美月ちゃんの話は航太と美青ちゃんから聞いてたんだ」
「そうなの?」
「うん」
「なんて?」
「聞かない方がいいかも」
クスクスと笑う彼は、何だか凄く楽しそう。
「えっ!? やだっ!! なに聞いたの!?」
おねぇーも航太君も何気に毒舌だから、慌ててバッと顔を上げた私の目の前には、ちょっと驚いたように目を見開く稜君の顔。
「……」
「あんまり見つめると、チューするよー」
「な……っ!!」
何で!?
彼の突然の言葉に、勢いよく元の位置に頭を戻した私の頭上からは「あはははっ!」なんて、楽しそうに笑う声が聞こえて……。
「なんて言ってたの?」
今度は私が唇を尖らせながら、不貞腐れたような声を上げた。
「んとねー、自由人で天真爛漫で自由奔放でワガママで……」
何それ!!
てゆーか、まだあるの!?
まだまだ続きそうな稜君の口振りに“帰ったら時間なんてお構いなしに、速攻でおねぇーに電話してやる!!”なんて、心の中で軽く悪態を吐いたのに。
「――だけど明るくて、誰よりも優しくて、甘えん坊で弱いくせに強がりで……信じられないくらい可愛い子」
「……っ」
おねぇーのバカ。
何かもー、泣きそうじゃん。