Do you love“me”?
――“私で、いいの?”
口から、出そうになったそんな言葉を、こっそり呑み込んだ。
「……航太君もいつも試合の後、一人反省会してるって、おねぇーが言ってた!」
「知ってるー。だって俺、それ聞いてマネしてるんだもーん」
航太君大好き稜君は、目の前で楽しそうに笑う。
その顔に、一瞬抱いた不安が少し和らぐのを感じた。
「稜君って、ホントに航太君好きだよね」
「うん! 好きだよー。てゆーか、尊敬に近いのかも」
「それは……人間的に? それとも、サッカー選手として?」
「人間的にはどうかなぁー」
クスクス笑ったと思ったら、今度は唇を尖らせる。
「航太はかっこ良すぎるんだよー」
そのクルクル変わる表情が、私の目を惹きつけて捕らえて、離さないんだ……。
「だって航太、FWだけじゃなくて、多分MFも普通に出来るよ」
「えぇっ! ウソ!」
「あいつのサッカー、ハンパないもん。超攻撃的だから、DFはやらせたくないけどねー」
そう言って笑った稜君は、リモコンに手を伸ばして停止ボタンを押し、立ち上がった。
「俺もお風呂入ってくる! お利口さんにしててねー」
稜君の足元でパタパタしているポーキーと、何故かテーブルの上に置いてあるチュッパキャンディーを私に渡すと、鼻歌を歌いながらリビングを出て行った。