Do you love“me”?
手に持ったスマホを操作して、軽い深呼吸の後、通話ボタンをタップした。
「……」
鳴り続けるコール音に、ハッとして時計を見ると、ちょうど正午を示している。
あーもう、何してるんだろう。
日本がお昼ってことは、向こうはまだ早朝だ。
スペインにいるおねぇーとの時差も考えられないくらい冷静さを欠いていた自分に、慌てて電話を切ろうとした瞬間、コール音がプツリと途切れ、
『……もしもし? 美月? どうしたの?』
いつもより鼻にかかったような、優しいおねぇーの声が耳に届いた。
「……っ」
『美月?』
ダメだった。
強くなりたいのに、泣きたくないのに。
安心したのか何なのか、その声を聴いた瞬間、涙がボロボロ零れてしまった。
そんな私に、きっと寝起きの彼女は「ゆっくりでいいよ」と声をかけてくれる。
だけど、それからことの顛末を、鼻を啜りながら話した私に、「うーん……」とうなり声をあげて。
『あのさ、航太と話してみない?』
――そんな言葉を言い放った。
「え⁉ なんで航太君⁉」
『んー、私より川崎君の気持ちわかるんじゃないかなって』
それは‼ そうかもしれないけど……。
でも、ざっと計算してみたら、今向こうは朝の5時くらい。
さすがに申し訳ないと焦る私に「大丈夫、大丈夫!」なんて言って、電話の向こうからおねぇーの気配が消えた。
次の瞬間――。
『もしもし? 航太ですけど、美月さん?』
普段電話でなんて話すことのない、聞き慣れない、やっぱり寝起きであろう、航太君の声が耳元で聞こえた。