Do you love“me”?
「ご、ごめん、航太君‼ 朝っぱらから‼」
慣れないシチュエーションに、思わず慌ててしまう。
『いや、全然。大丈夫ですよ』
そう言って、少しだけ笑った航太君に安堵して、ふっと息を吐きだした私は、おねぇーに伝えた話を再び口にしたんだ。
「――どう、なんだろう。稜君」
最後にぽつりとつぶやいた私に、航太君はおねぇーと同じように「んー……」と考え込むようにつぶやく。
『まぁ、しんどそうですね』
航太君の口調は少し困ったような、苦しそうなもので、稜君を心配している様子がひしひしと伝わってくる。
「うん。……ねぇ、航太君」
『はい』
「稜君は今、どんな気持ちなのかな? きっと辛いよね?」
『……』
何も言わない航太君が、無言でそれを肯定しているように思えて、胸が痛くなる。
思い出すのは、試合の途中、空を見上げる稜君の姿ばっかりで……。
「稜君ね……っ」
泣きたくないのに、涙が止まらない。
「辛いことがあったら……話すって……言ったのっ!!」
堰を切って溢れ出した感情は、もうコントロールできなくて、気付いた時には、叫ぶようにそう口にしていた。
「なのにっ……何も言ってくれない!」
『……』
「私はもっと稜君の力になりたいのに」
しゃくり上げる私の言葉に、航太君はまたほんの少しだけ笑いながら、優しい口調で私に話しかけた。
『美月さん、ちょっと待ってて下さい。人払いしてきます』
――人払い?
『美青ー。ちょっと向こう行ってて』
『わかった。話し終わったら、ちゃんと代わってね』
その意味がよくわからないでいる私の耳に届く、航太君の言葉と、それに続いて少し遠くから聞こえたおねぇーの返事。
“人払い”って、おねぇーのこと?
『もしもし?』
「あ、うん」
『スイマセン。これから話すことは、ちょっと美青に聞かれたくなかったから』
そう言って、航太君は少し困ったように笑った。
おねぇーに聞かれたくない話?
稜君の話のはずなのに……。
最初はなんだか違和感を覚えたけれど、その理由は、話をするうちに徐々に解明されていった。