Do you love“me”?

親族控室に連れて行かれ、一人一人挨拶をしていく様子を“この人達が、航太クンの親戚かぁ”なんて思いながら眺めていたんだけど。


――ドクン。

その中の一人に、私の心臓が大きく反応して息を呑んだ。


「新郎の兄の宮崎 翔太(みやざき しょうた)です」

そう言って、優しく微笑んだその人。

おねぇーから、航太君にお兄さんがいる事は聞いてたけど、航太君とは少し雰囲気が違う。


なんて言うんだろう?

本当に“柔かい”、そんなイメージ。

天使の羽みたいに、フワフワしている――って言っても、私は天使の羽なんて見た事はないんだけど。


「宜しくお願いします」

にっこりと笑って頭を下げたその人に、私はすっかり瞳を奪われていた。

自己紹介を続ける人たちの声を、ちょっぴり遠い所で聞きながら、自分の番が回ってくるまで、ドキドキが止まらない心臓を鎮めようと格闘をしてみたり。


「新婦の妹の佐々木 美月です。宜しくお願いします」

自分の番がきて、ぺこりと頭を下げた私は、チラリと“翔太さん”に目を向ける。


「……っ」

瞬間、翔太さんと目が合って、ちょっとだけ目を大きくした翔太さんは、すぐにそれを細め、ふわりと微笑んでくれた。
< 6 / 397 >

この作品をシェア

pagetop