STAR


「別にいいよ!あたし達、付き合ってるんだし…」

あたしがそういうと、新は何かを感じ取った様な顔をしたけど、「そうか…?」と言って、もう一度手を差し出してきた。



差し出してきた新の右手を取り、あたしの教室まで行く。

いつもより少し早い時間に居るのは章くんぐらいで…―


「あれ?愛ちゃん、おはようー…新ニィと一緒に来たの?」

「おー!章、おはようさん♪」

「章くんおはよう!うん…えっと、あたし達昨日から付き合ってるんだ!」


あたしが章くんにそう言うと、新が少し不安そうな顔で聞いてきた。

「言ってよかったん?」

「うん!」

大丈夫――…あたしの心は段々、新に惹かれているから。

昇が好きじゃなくなったわけじゃないけど…昨日の真剣な新を見てから、これまで見えなかった心の内が見えたような気がして。

でも、昇を忘れてないのにすぐに新と付き合って…

新はそれでもいい、って言ってくれてけど、やっぱり最低な女なんだと思う。

新は3年だし、ファンだっている。

ファンの人たちも―…あたしが付き合っていい気はしないと思うし。

「ありがと、愛…―」

そう言った新に、心の中でごめんねを呟いた。



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