僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
次の朝、僕は彼女より先に起きると、何食わぬ顔で朝食を作って彼女を起こした。
「弘美さん、朝食できましたよ、そろそろ起きないと遅れますよ」
「えっ、誰、あんた誰?」
寝ぼけた弘美さんが、僕の声に驚いて部屋から顔を出した。
「やだな、弘美さん、僕ですよ、孝幸です」
僕の顔を見て納得したのか、弘美さんが顔を赤らめて頷いた。
「そうだった、昨日から下宿することになったんだったね」
「ほら、もう用意できてるんで、早く顔、洗ってきてください」
「嗚呼、でも、思い出せない。あたし昨日、どうやって部屋に戻ったのかしら。なんか、凄く酔って、眠くなって……」
「弘美さん、随分酔ってふらついてたから、僕が肩を貸して部屋まで連れていったじゃないですか」
「そっか、そうだったっけ……なんか、昨日はお酒のせいか、ぐっすり眠れたみたい。顔洗ってくるね」
昨晩のことを覚えていない弘美さんに、僕は正直ほっとした。