僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?
「僕が何年広告代理店で営業してたと思ってるの?」
彼の話に呆気にとられ、すっかり毒気を抜かれたあたしがそこに居た。
「こんな駅前の一等地、僕が素直に雑貨店の跡を継ぐなんてありえないでしょ。
帰って直ぐ、親父達を説き伏せてあそこにビル建てた。
一階は店舗で、二階から五階は事務所とワンルームの賃貸。六階部分が自宅。
そりゃ初めは渋ってたけどね、結果的には喜んでくれて。
親父は三年ほど前に逝ったけど、お袋は健在。
僕はあの喫茶店のオーナー兼ミニコミ誌の編集長。
まぁ、悠々自適な田舎生活だよ」
「あんたにそんな行動力があったなんて驚きだわ」
あたしは空いた口が塞がらないほど驚いていた。