僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?



「ただいまぁ……、っと、寝てるんだっけ」



私は玄関を入るなり、出しかけた声を潜めて靴を脱いだ。


コンビニの夜勤は想像するよりずっとハードだ。

不況の煽りで荒んだ世の中が、治安の悪さも引き起こしている。

この辺りは夜も人通りが多いから、コンビニ強盗、なんて物騒な事件は起きそうにないけれど。

その代わり、酔っ払いや、昼夜逆転の若者も多く忙しない。

いつ何が起きても不思議じゃないし、スタッフの人数も少ないから昼間より気が抜けない。

僅かな仮眠を取ることもままならないと聞いていた。


だから、きっと彼は今、疲れてぐっすり眠っている筈だ。
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