僕の女神、君の枷~幸せって何だろう?

気が付くと、あらかた一升瓶が空になっていて。

恐らく、多分、半分は彼も手伝ったはずだけれど。

私は、すっかり酔っ払っていた。


「信じられるぅ、あいつったら浮気してたのよ!

あたしが髪振り乱して父の介護してる時……部下の女とぉ……あ、あたしは何だったのよ、家政婦?

そうよ……あいつ、家政婦くらいにしか思ってなかったのよ。

だから別れてやったの……あたしが別れてやったのよぉ!」

自分の家という気安さからか、どうやら私のタガが外れた。

言葉にしたくて出来なかった思いが、呂律の回らなくなった口からあふれ出す。

親戚には同情した目で見られ。

娘にさえ、『お母さん、血迷ってる』と呆れられた。


『そんなことで、何不自由ない妻の座を捨てるなんて』って。


「そんなことじゃぁないのぉ。

あたしにとっては大切なことなのよぉ……

あたしだって、女だもの、愛されたい……守られたい、幸せになりたい……」


いつしか、涙で前が見えなくなって。

瞼は重く。


私は視界を失った。
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