Primo Amore(初恋)
立ったまま展示品の電子ピアノ弾いている慧くんは、今までの印象とまったく違って見えた。

私はすかさず近くまで行って声をかけた。

「慧くん!」

嬉しくて思わず少しだけ大きな声になってしまった。

私の声に、慧くんの肩がびくんと震えた。

「あ・・・」

「すごいね、ピアノ上手なんだね」

外見からはまったく予想できなかったことだけに、私は本当に驚いていた。

「・・・ちょ、ちょっとかじっただけだよ」

そう言いながらうつむく顔は目は見えないものの少し赤くなっていた。

ちょっと、なんて言ってるけど、私が聞いた限りではもう何年もやっている腕前だった。
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