Primo Amore(初恋)
「実夏はもう慧くんしか見えないよ」

本当のことだった。

大学でいいなぁと思っていた先生も、何度も誘いをかけてくる先輩も全然興味がなくなった。

それよりも、まっすぐバイトに行って、まっすぐ家に帰る、そんな日々が続いていた。

「早く・・・会いたいな・・・それで・・・」

ぎゅって抱きしめて、いっぱいキスして・・・それで、それで・・・

私は手に持っていた勝負下着を握り締める。

『実夏ちゃん?』

急に黙ってしまった私に、慧くんが話しかける。

『あの・・さ・・・ホ、ホテルなんだけど・・・』

ホテルは慧くんが予約してくれるというので、そういえばまかせっきりにしたままだった。
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