私と黒猫


駅に着いてもまだ里紗子は来ていなかった。少しだけホッとする自分がいる。
ちょっとして電車を待っていると、

「おはよー」

里紗子が来た。

「おはよう」

私は挨拶をするとチラッと里紗子の方を見る。
こっちを見ようともしない里紗子を見て、私は溜め息をつきたい気分になった。



沈黙。




里紗子は毎朝何で私に声をかけるんだろう?声をかけてしまったら一緒に学校へ行くことになる。
私はそれがよく分からなかった。

ここ最近は毎日これの繰り返しだ。
いい加減はっきりさせたい。でもはっきりさせる勇気なんて私は持ち合わせていなかったから、ずるずるとこのまま引きずっている。そういうことも私のストレスになり、一番疲れさせる原因だった。

(もう電車の時間変えようかな…)

最近私は逃げる手段を考え始めた。

学校に着くと、

「じゃあねー、ばいばい」

「うん、ばいばい」

というやり取りをして自分たちの教室に入っていく。



終わった。


ここでやっと一息つける。
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