時計兎
体温が冷えていくのを感じた。
少女が近くで助けを呼んでいる。
しかも夜中。




これでは不審者だ。




一方、警官


助けを呼ぶ少女の声に対しこちらの反応がなくても全力で近づいてくる。


シャーシャーと自転車が左右にうねりながら近づいてきた。


――速い


もし捕まったら職務質問で問い詰められ誘拐犯。


背筋がゾッとする。

逃げなければ。


警官からここまでまだ距離がある


だが考え込む時間はない。


久遠は彩夏を抱え、残り数メートルのアパートまで全力で逃げた。
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