時計兎
ふわっと体が持ち上がる。

まるでスローモーションみたいだと彩夏は感じた。








ドクン

彼の右手が私の膝の裏に。




ドクン

左手が私の肩を大事そうに抱えてくれる。





ドクン

彼の脈打つ鼓動がはっきり聞こえて安心する。




波打つ息も素敵で。




彼は暖かくて、広くて。






真剣な顔が私に向いていなくても心が語りかけてくれる。







守ってやるって。






誰かが側にいてくれる…




初めてだぁ…




お姫様抱っこ。





自然と涙は止まっていた。
< 39 / 73 >

この作品をシェア

pagetop