さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―
「近藤さん、噂の女はどこでぇ!」
襖をバンと豪快に開いて、大柄な男が入ってきた。
「ちょっと、永倉さんひっぱらないで!」
少し細身な男の腕を引きながら。
「うるせぇ、平助はそんな軽っこいからわりぃんだ!
「永倉さんは度が過ぎてますよ…。」
やっぱりおそろいのはっぴを着ている二人の言い争いに呆気にとられる。
ん?
今、聞き覚えがある名前が出てきたよね?
永倉さん、平助。
翼にずっと前聞いた新選組の組長の人、それぞれの名前を思い出す。