漆黒の黒般若
10月の下旬に入ったくらいの今日はお信さんとのお喋りDAYだった



心配ごとを聞かれたあたしは心配ごとより最近困っていることを相談してみた



そして得られた返事は“鈍感”“アホ”“感情オンチ”



「酷いですよ、お信さん。確かにあたしはバカですけどそこまで言わなくても…。もとはと言えばお信さんが相談に乗ってくれるって…」



「だってー、あまりにも楠葉ちゃんが恋愛鈍感オンチ女だったんでイライラしちゃって…」



「お信さん、なんか組み合わさっちゃってますよぉ。あたしの悪口の酷さが増してます!3割増しくらい…」



「あのね、じゃあ聞くけど楠葉ちゃんってその斎藤さんのことをどう思ってるの?」


「え?どうって、急に言われても…。えーっと、頑固だけどたまに優しくてそれでもって急に突拍子もないことをするちょっと変わった人…ですかね?」


「ふーん、変わった人ねぇ。突拍子もないことって?例えば何?」


「例え、ですか?そうですねぇ…。この間口づけされました」


ブーっ!!


照れながら話す楠葉の回答にお信はつい口に含んでいたお茶を吐き出してしまった


「えっ!あなた達そこまで進んでいたの?!あたし知らなかったわよ!っで、どうなの?どこまでいったの斎藤さんとは!あたしには教えなさい!あなた、まさか…もうヤったの…?」



「いや、あのお信さん?無駄にハァハァするのやめてもらっていいですか?それにお信さんが考えてるような関係じゃないですよー、斎藤さんとは」



「でも、口づけしたんでしょ?」


「っつ!!っ……、それは、あの、あれですよ…その…飼い主が犬や猫に口づけをするみたいな」


「はぁ、これだから鈍感娘は困るわ。あなたは犬や猫じゃないのよ?きっと斎藤さんだって楠葉ちゃんをそうゆう風に思って口づけしたんじゃないと思うけど…」


「そ、そんなっ!だって、斎藤さんがあたしに口づけする理由なんてそんな色気付いたものじゃないですよ!あたしなんかに…斎藤さんが……」


「楠葉ちゃん、昔なにかあったの?」


「えっ?どうしてですか?」


「なんか、そんなに男の人を拒絶するような子ってなかなかいないからさ…?」

「…拒絶……?」


男の人を拒絶…

あれ…?

なんだ…?

あたし…拒絶してるの…?
斎藤さんを…?

「ちょっと、大丈夫?楠葉ちゃん。顔が真っ青よ?」

「あ、はい。大丈夫ですよ。それよりお信さんは最近山南さんとどうなんですか?」


「あたしはいつもどおりよ…」


自分から聞いておいたくせにあまりお信さんの話は聞いていなかった


でもなんだかお信さんも元気がなかったように思えた

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