幸せの記憶

俊彦は同時に
温子に連絡をした。

「ひろしが女とホテルに入るところを見た。
多分その女はあっちゃんの親友の悦子だ。」
そしてそのホテルの場所を教えた。

これで、この結婚が破談になればいい。
そしてあの男が堕ちれば良い。

そう思っていた。

温子の答えは予想外だった。
「ひろしさんがそんなこと
するわけないよ。
悦子もそんな娘ではないよ。」

そういって笑ってこういった。

「としちゃん、
あっちゃんは幸せになりたいんだよ。
ひろちゃんと結婚したいんで。
としちゃんも祝福してくれるよね?
あっちゃんの結婚。」

このとき俊彦の心から
悪魔は消えた。

何もなったことにしよう・・・。

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