*硝子*【短】
「ねぇママ!」

「ん?なぁに?」


「今日ね、恵介先生に
遊んでもらったんだよ!」
「すごく面白かったぁー!」


“恵介”と言う言葉に少しドキっとする。


「そ、そぉ・・・」
「よかったわね・・・っ」

少しの動揺を隠し引きつる頬を
無理やり笑わせる。



「ねぇママ」

倖が笑顔を見せながら
私を呼びかける。


「ママの好きな人ってだぁれ?」
「倖わね、恵介先生が大好きっ!」


倖ったら・・・
冷や汗のかく事ばかり・・・。

「ママは倖が一番好きよ♥」


「・・・・・っ!////」
「さ、倖もママが一番すきぃっ!!!♥」

そう言って倖が私の胸に飛び込んでくる。


「わあぁ・・・っ!?」

「こ、こらぁ・・・っ座りなさ・・・」
「ママだぁーいすきっ!」



倖の笑顔なんか見てたら
起こる気も失せてしまう。


倖の笑顔は魔法の様に
私の疲れをいつも吹き飛ばす。



私は倖さえ居ればいい。

倖が居れば何も要らないわ・・・。



*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*


「倖ーっ!」
「幼稚園行く準備しなさぁーい!」


「ママ・・・」

居間から出てくる倖。
それはそれは弱々しい声で私を呼ぶ。


「倖・・・?」
「どうしたの・・・?」
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