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家なき子




「はぁっ!?今、何て言った??」


昼下がりの大学のカフェテラス。

みんなが楽しく食事をしている最中に、あたしの真の抜けた声が響いた。

一瞬、辺りはあたしに注目したが、直ぐにさっきまでとは同様にお喋りを楽しく始める。


「香織、どうかした?」

「え、あ…ごめん、席外すは。先に授業行ってて」


グループの子達が心配そうにあたしを見てくるのがいたたまれなくて、直ぐ様荷物を鞄に押し込め、席をたった。


あたしが来たのは、大学構内で人があまり来ない裏庭。

少しボロいベンチに腰を掛け、さっきの話の続きを始める。


「で、お父さん?どうゆうこと、家がないって!?」


【いや~そのな、さっき話した通りで、家賃滞納したから今日引き払えって…大家さんに言われて…】


ボソボソと話す父。

元々気の弱い父のことだから無理に押しきられたんだろう。


というか。

「あたし、家賃払ってないなんて聞いてないんだけど!?」


【いや、言ってないから、ね。】


くそ親父ーー!!


あたしは叫びたい気持ちを拳に力を込めながら必死で押さえる。

そんなことも露知らず、あのバカ親父は話を続ける。







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