ルームシェア


【てことでさ、しばらくは誰か友達の家でも泊めてもらってくれるかな?】



「なにそれ??
 なんて説明すればいいのよ!?」


大学に入って早3ヵ月。

お昼や授業を共にする友達はいても、あたしの家の事情を知ってる人は誰一人もいない。


だから、そんなこと言われても困る。


【てことで、また連絡するね~】


「あ、ちょっ!?」


一方的に切られた電話。

耳の奥では無機質な音だけが聞こえる。


いつも自分勝手。

勝手に変なことをして、娘のあたしを振り回すお父さん。


いつかはやるだろうとは思ってた借金やお母さんの家出。

気付いたときには、離婚してたし。


あたしはお父さんが心配で一人家に残ったけど。

それがこんな風に仇になるなんてーー!!




「もーー、どうすればいいのよ!?

 誰か友達の家でも泊めてもらってくれるかな?

 ふざけんな!!何日もそんなことできるわけないじゃん」


貯金だって、そんなあるわけじゃない。

どこかに泊まることなんてできない。

だからと言っても、グループの子達はみんな実家暮らしだし。

せめて独り暮らしの子でもいたら。




「じゃあ、俺ん家に住む?」




――へ??





< 2 / 57 >

この作品をシェア

pagetop