ルームシェア
ルームシェアの始まり
――ピピピッ
軽快な目覚ましがあたしの枕元で音をたてる。
眠たい目を擦りながら、あたしはベットから起き上がる。
「ここ……」
どこだっけ?
見慣れない風景に頭が困惑する。
が。
「香織、てめぇ、朝からうるせーよ!!」
そう怒鳴りこんできた雄大の声によって、あたしは目を覚ました。
あ、あたし、昨日から雄大の家に住むことになったんだ。
「あ、おはよう」
「…おはよ、う。」
ため息混じりにあたしに挨拶を返す。
それを聞いて、あたしはベットから降りた。
「朝ご飯でも作るよ?」
と、リビングに入ると、香ばしい臭いがした。
見ると、すでに朝ご飯が用意されている。
「…雄大が作ったの?」
「ほかに誰がいんだよ。
てか、お前の料理とか怖くて食えない」
「ひどっ。これでも、毎日作ってたんだから」
仕事で忙しい父と家を出ていった母の代わりに、あたしは毎日のようにご飯を作っていた。
昔に比べたら全然、食べれるレベルだと思う。
それを食べたこともない雄大に完全否定されたあたしは、ムカついてテーブル置かれたおかずをパクリと一口食べた。