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平日のお昼過ぎということもあってか、人はそれほどいない。

人混みが苦手なあたしにとっては救いだ。


花木くん…じゃなくて、雄大を見ると、キョロキョロとなにかを探すように辺りを見ている。


「ねぇ、あの人かっこよくない?」

「本当だ~!!モデルさんかな??」


不意に横を通る女子高生がそんな噂をしている。

その女子高生の視線を見ると、雄大がいた。


あ~、たしかに、顔はかっこいい?のかな。

身長もけっこう高いし。


でも、性格がな~。


「なに、さっきからお前、俺に喧嘩売ってんの?」


「…めっ滅相もありません。」


また声に出てたー。

あたしは視線をゆかにおろし、ただ黙って雄大の隣を歩いた。


時々、あそこの店に行くぞ、とか、あっちの店に行くぞ、なんて感じに雄大に連れられるまま、あたしは身を任せていた。


あたしたち、周りから見たらどんな風に写るのかな。

なんて考えるけど、男と女で歩いているんだから、カップルにしかみえないか、と落胆する。



恋とか、何回かしたことあるけど、男の子とふたりで出掛けるとか、付き合うとかしたことない。

告白だってされたこと…


あ、一回だけあったような気がする。

小学生の時に。



はぁ…。



出掛けるのも、付き合うのも、告白まがい?なのも、全部なんにも知らない、好きでもない男がやってくるとは。


思いもしなかったな~。


なんて考えながら、あたしたちは二時間ほどで買い物をすませると、家路に向かう。








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