ルームシェア


あたしと雄大のことを聞いてくる人は、グループ内だけではない。

たまに話すような子や高校が同じで疎遠になりかけてた友達、雄大の友達とか、あとはサークルの先輩。


帰る頃には質問攻めにされたせいで、疲れきっていた。

そんなあたしを見ながら、雄大はケラケラ笑っている。


「付き合うって面倒くさい。」


そうボソリと呟くと、さらに笑ってくる。


「お前もしかして、男と付き合ったことないの?」

「…ないよ。」

「だからじゃね?」


だからなによ。

そんなに珍しいかな。

てか、そう考えたら雄大は初彼か…。


「なんで、好きでもない男と付き合わなきゃいけないんだろうか」

「お前な、俺と付き合えたなんてありがたいぞ!!
 付き合ってるうちに確実に好きになるよ、俺のこと」


どっから来るんだか、その自信は。


ドヤ顔をしている雄大を横目に、あたしはスタスタと帰路を歩く。

横では舌打ちをする雄大。

こんな光景を見れば、だれも付き合ってると思わないだろう。

なのに雄大ときたら、面白がるように人前だと距離を縮めてくる。


だからみんなが盛り上がって、はやし立てる。


あたしはそれにうんざりしている。


こっちの気持ちも考えないで、あたしのこと振り回して、俺様な雄大なんて好きになるわけがない。



「むしろ雄大があたしのこと好きになるんじゃない?」


なんて、雄大みたいに自意識発言をしてみる。






< 17 / 57 >

この作品をシェア

pagetop