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こうしてタクマ先輩と帰るのは珍しいことじゃない。

最初は少し抵抗があったけど、今じゃそんなの感じない。




「あ、そういえばこないだ、香織ちゃん見かけたよ」

「え、どこでですか?」

「駅前のショッピングモールで。」


最近きたのって、雄大とだよね?

そこを見られたのかな。


「香織ちゃんが男友達といるの珍しいな~って、思ってみてたんだよね」

「え、見てないでら声かけてくださいよ!!」


アハハ、なんて笑いながら、あたしはタクマ先輩に少しつっこんだ。


タクマ先輩には、雄大のこと言わなくてもいいよね。

なんだか、友達って解釈してくれてるし。

わざわざ訂正とか、自慢してるみたいだし。


「一緒に歩いてた人、どっかで見たことあるんだよね~」

「え、タクマ先輩、雄大のこと知ってるんですか?」

「わかんないけど、かもね」


なんだそれは。

あたしは、曖昧な記憶に悩むタクマ先輩が面白くてケラケラと笑った


きっと、指摘したら面白いだろうな。

なんて思いつつも、あたしは深く追求しないでおく。

そう思ったときには、もう違う話題になっていたからだ。


そのそれからいくつかの話をしていると、あっという間に駅までついた。


タクマ先輩は電車で、あたしはもともとバス通学だったから、そのままバス停の方向に進んだ。


その方向に、雄大の家もある。


あたしは、なるべくゆっくりと歩く。

早く家につかないように。









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