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気付いたときには、あたしの横に腰かけている男がいた。
目をぱちぱちとさせているあたしを見ながら、ニコッと笑った。
この人…どっかで見たことあるような??
「英文科の松島さんだよね?」
その言葉にコクンと頷く。
見た目はまだ幼いから、たぶんタメ。
あたしのこと知ってるってことは、同じ英文の人?
少し近い距離で見つめられたあたしは、まるで蛇に睨まれたカエルの気分だ。
「俺、同じ英文科の花木雄大ね。よろしく」
無邪気な顔で笑う彼に、何となく警戒心がとれた。
「あ、よろしく…じゃなくて、なに??」
さっきの言葉!?
なんてあたしが家無いの知ってるの?
「だって、ブツブツ言ってたじゃん?」
「もしかして、だだ漏れでした?」
あたしの言葉に、またにっこりと笑って頷いた。
穴があったら入りたい。
恥ずかしくて、顔から火が出そうだ。
「で、どうするの?」
「なにが?」
あたしは恥ずかしくて横目で彼を見た。
そんなのお構いなしに、彼はベンチから降り、あたしの目の前へと来る。