私の鬼畜な天使様
Ⅱ 崖っぷち天使
『やってらんねー』

さきイカ片手に日本酒を飲む天使、っていうのもなかなかジュールな光景だなあ。

『だいたい俺天使向きじゃねぇんだよ。誰かを救う気なんてさらっさらないし興味もない。お前が言う清廉さとかも皆無だしな』

『へえ…』

しかしそんな事をいうフェイトの外見はまさしく天使そのものだと思う。金色に輝くプラチナブロンドの艶やかな髪に真冬の澄んだ空のような瞳、真っ白な肌はシミやシワひとつなく整った鼻梁に薄く形の良い唇がさきイカを咀嚼している

『だから堕天したって全然構わねーのにあいつ…魔王が…』

『堕天、ってどうなんの?』

『悪魔になるんだよ。あんだよ…そんなのも知らねえの?』

知らないよそんなの。

『名門サイファー家も悪魔は悪魔なりに美学がある。俺はその美学に反するからって拒否るし』

『要するに堕天しても行くとこがない、と』

ちょっと笑ったのが堪に触ったのかフェイトはむー、と頬を膨らませた。子供みたい。

『あるけどさ…煉獄とか…でもあそこは嫌だ』

『煉獄?』

『と、っとにかくそんな俺に上層部からお達しが出たわけだ。堕天するのが嫌なら一人の人間の女を救え、ってな』

『それが』

『お前だ、蜜柑』

いかにも面倒そうに持ったさきイカでこちらを指してきたフェイトに私はぽかんと口を開けてただ見詰め返したのだった。


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