ミルフィユと猫被り


昼休みー……。



俺は高等校舎の中にいた。


もちろん、自分の体操着袋を取り返すために。


しかし、思った以上に高等校舎はガラガラでむしろ、いるほうが不自然なようにも思えた。


きっと、学食を食べに教員校舎のほうに行ったんだろう。



「失礼しまーす。」



とにかく、体操着袋を取り返すため兄貴の教室に入り名簿12番を探す。



「あったあった。」



まるで金を狙う泥棒のようにこそこそと体操着袋を持ち、すり替え、教室を出ようとしたときだった。



「いたっ!もぉ〜探したんだからね!!」



マズイ………


……バレた。


俺は、背中に冷や汗が広がるのを感じながら振り向いた。


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