ミルフィユと猫被り



「はぁ〜…。」


「どしたん、恭?!!ため息ばっか吐いてっと、幸せ逃げんだぜ?!!」



時はさかのぼり、
《今朝》9時4分12秒…。


小学校からの親友である、橘疾太《たちばなはやた》が俺にちょっかいを出していたときから始まる。



「うっせぇな。今日という日は、俺を苦しめるためにあるんだって……」


「わけ分かんねぇことばっかゆってんなょ!!さてはお前!!あれのラスボスに苦戦してんな?!」



いつもに比べて、遥かにテンションが高い疾太を適当にあしらいながら、学校への道程を急ぐ。


遅刻の身ではありながら、成績だけはどーにか維持したいというあやふやな理由で。



「つーかさ〜、お前のそれ何?体操着袋かえた?」



疾太の言葉に右腕にぶら下がる袋を引き上げる。


俺が間違うハズはない。


間違ったとしたら、兄貴のほうだ。

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