ミルフィユと猫被り


俺は、額に掌を打ち付け、また深いため息を吐く。



「だから、ため息ばっか吐いて…」


「分かってるなら、何回も言わせんな。今日という日は、俺を苦しめるためにあるってこと。」



さすがの疾太も生唾を飲み込むくらい鋭い睨みをきかせて言う。


自分の言ったことに自身が持てるほど、今日の俺は、ついてない。


まず、朝寝坊したこと。


それから、機嫌の悪い父さんと母さんにめちゃんこにされて、


それから疾太に図星をつかれたこと。



そして今、先に出ていった兄が俺の体操着袋を持っているってことに気付いたこと。


何もかもが最悪すぎる。


長い人生を生きていく中でこれ以上に悲惨な日があったら、まず無理だと思う。


第一人生やってけなくなるな、と心の底から思った。

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