ミルフィユと猫被り
「姉貴があんまりシケた面してて夏穂、気ぃ遣って帰ったんだよ。」
呆れたようにそう言って、灯貴は、背を向けた。
最近彼女が出来たからか、肩幅が広くなり体格もがっしりして男らしくなってきていた。
あたしは、その背中を眺めながらある人と重ね、静かに見送った。
「電気は、消して寝ろよ。あと!そんなシケた顔、明日帰ってくる母さんや父さんには見せんなよ。」
「……うん。」
返事をして、小さく謝ると同時に柔らかく扉が閉まった。
微かに揺らいでいるアロマキャンドルの光で部屋に置いてあるカラフルな硝子家具が煌めき、色を出す。
壁に移る色が、なんだかとても、愛しくて。
……涙が零れた。