恋雪【修正中~50pまで~】
何故か、先輩から距離は離れているはずなのに、視線を感じる。
私は先輩に嫌だと言った。変だとも言った。
それは初対面の人に対して言えば、まず間違いなく嫌われるはずなのに―――
あの先輩には私を嫌うといった目をむけてこない。
いつも掴めない笑顔か優しい笑顔かのどちらかだ。
今までなら、そんな言葉を言わなくても人は私から離れていたというのに――――
「そろそろ気付いてくれても良いんじゃなかな?」
「わっ!」
いきなり近くで聞こえた声に私はみっともない声を出してしまう。
そして慌てて声の方から距離をとりながら、私は廊下の壁にぴったりと背中をくっつける。
「せせせせ、先輩?」
「そんなに驚かなくても俺は幽霊じゃないんだけど?」
いやいや、登場は幽霊みたいだった…じゃなくてだな。
「…何ですかこれ?」
私は自分の目の前に差し出された手に疑問符がいっぱいになる。